だが、90年にMLB選抜に4勝3敗1分と、日米野球の長い歴史の中で初めて勝ち越すと、その後は野茂英雄をはじめ日本人メジャーリーガーも次々に誕生。しだいに日米の実力差も縮まっていく。
そして、沢村の伝説の快投から89年後、侍ジャパンが“打倒米国”の悲願を実現し、世界の頂点に駆け上がった。
「僕らはアメリカの野球をリスペクトしていますし、彼らの野球を見本にしてこれまで頑張ってきたと思うので、今日はたまたま勝ちましたけど、これからもっともっと高いところを目指して、もっともっと頑張っていきたいなと思います」とさらなる飛躍を誓う大谷翔平の言葉からも窺えるように、日米対決はこれからも熱い火花を散らしながら、新たな歴史を刻みつづけていくことだろう。(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。