大阪府知事選と大阪市長選が始まった。これまで過去3回の「大阪ダブル選」は、地域政党の大阪維新の会が制してきた。大阪を牙城(がじょう)とし、ここから国政政党の日本維新の会の勢力拡大にもつなげてきた「維新」にとって、今回の統一地方選は「全国政党化」を目指す上で大きな試金石になりそうだ。
橋下徹氏とともに「維新」の創立者で、大阪市長の松井一郎氏が政界引退を表明し、代表選で馬場伸幸氏が選ばれた。
維新は、昨年の参院選で6議席増やし、比例票では「野党第1党」になった。馬場氏は、政権獲得を視野に入れ、「全国政党化」を進める方針を示した。その第一歩としたいのが今回の統一地方選だ。
馬場氏は、現在約400人いる地方議員を約1・5倍となる600人以上の確保を目標とし、これが達成できなかった場合は、代表を辞任する考えを表明した。
全国政党化し、政権獲得へ――。その実現のためには、維新の力の源となってきた府知事と市長のポストは落とすわけにはいかないわけだ。
安倍晋三元首相時代は、橋下氏と松井氏のコンビが官邸との太いパイプをつくってきた。菅義偉前首相と松井氏は「蜜月」とも言われるほどの関係となり、2025年の大阪・関西万博やIR誘致といった大きな政策を、松井市長、吉村洋文・府知事(47)のコンビで進めてきた。
そして、今後、その両軸を引き継ぐのが大阪維新の会代表で、府知事選で再選を目指す吉村氏と、松井氏の後継として市長候補に選ばれた大阪維新の会の元府議、横山英幸氏(41)だ。
維新幹部がこう話す。
「統一地方選は、維新が今後、国政でどうかじを切っていくのかを決める上で、非常に重要な選挙となる。結果次第では岸田政権と“ガチンコ”で勝負することになるかもしれない。そうなると公明党ともですね」
岸田文雄首相が官邸の主となり、維新との距離も変わってきた。馬場氏は、松井氏の時は距離を置いていた立憲民主党と「共闘路線」をとっている。