沖縄県名護市の辺野古新基地建設に伴う埋め立ての是非を問う沖縄県民投票が2月24日に迫る。「反対」が多数に上るのは必至の情勢だが、政府は投票結果にかかわらず工事を進める方針だ。しかし実際には、法的にも技術的にも政治的にも難題が山積している。政府のごり押し路線は「勝算なき暴走」といえそうだ。
「国が『やめるつもりはない』というのは勝手ですが、そうはいかないんじゃないかと思います」
そう話すのは、成蹊大学法科大学院の武田真一郎教授だ。
県民投票の結果に法的拘束力はない。これは過去に各地で実施された住民投票も同様で、あえて強調するまでもない。今回重要なのは、埋め立ての承認や撤回は知事の裁量行為であるという点だ。武田教授は言う。
「知事が反対多数の民意を尊重して埋め立て承認を再度撤回すれば、工事の中止という法的効力が生じます」
その場合、知事の承認撤回が違法かどうかをめぐって、国と沖縄県が再び法廷闘争に入る可能性が高い。裁判では、公有水面埋立法4条1項で規定する「国土利用上、適正かつ合理的」に埋め立てが行われているかどうかが問われることになる。
故・翁長雄志前知事時代に、国が辺野古埋め立て承認取り消しの違法性を訴えた裁判は2016年12月、沖縄県の敗訴が確定した。この際、沖縄県側が過去の選挙を通じて「辺野古反対」の民意は示されていると主張したのに対し、福岡高裁那覇支部が同9月の判決で「選挙はさまざまな要因が入っており、基地負担軽減なのか、辺野古に基地をつくらせない民意なのか判断することができない」として、最高裁もこれを踏襲した。
しかし、今回の県民投票の結果によっては、この司法判断を覆す可能性もあるのだ。武田教授はこう指摘する。
「先の高裁判決で司法が判断材料に挙げた『民意』が今回、県民投票で明示されるわけですから、県民が納得していない埋め立てを『国土利用上、適正かつ合理的』と解釈するのは無理があります」