花粉症の症状緩和に有効な漢方薬は何なのか。陣内医師が挙げるのが、「小青龍湯」だ。体を温めて鼻水を乾かす生薬や、粘膜を引き締める生薬などが含まれている。胃腸が弱い人にはマイルドな「苓甘姜味辛夏仁湯」がおすすめ。七つの生薬を組み合わせ、鼻水や痰を止める用途にほぼ特化して使用されている。大きい副作用は考えにくく、妊婦も服用できるという。いずれも保険適用可なのもうれしい。

「春は気候や生活が動き出す時期。そうした変化に体がついていけなくなることで症状が出てしまいます。これを防ぐには、冬の間にしっかり栄養をとり、無理をせずに力を蓄えること。一番大事なのは睡眠時間。ストレスと寝不足を避けていきたいですね」(陣内医師)

 東京都が17年12月に発表した都民のスギ花粉症推定有病率は48.8%と2人に1人。筆者自身も花粉症で、昨夏から舌下免疫療法に取り組んでいる。花粉症シーズンを迎え、治療の効果を最大化するためにできることはないだろうか。日本医科大学の大久保公裕教授からこんな答えが返ってきた。

「患者自身が効いていると『感じること』です。そうすれば体内の免疫機能も上がります」

 治療の効果を高めるにはメンタル面も重要な意味を持つ、ということのようだ。各メディアが連日発表する「花粉飛散予報」に接すると、花粉の海の中を泳ぐような心持ちになり、外出するのが怖くなりがちだった。そんな我が身を振り返り、花粉を恐れるだけでなく「平常心で暮らす」ことも花粉症克服の一歩なのだ、と考えを改めた。(編集部・渡辺豪)

AERA 2019年2月18日号より抜粋

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