「内部進学の基準も厳しいため、競争を意識している家庭が多い。中高では抜群に優秀な外部生が進学してくるので、熾烈な環境下で競争心を持ち、たくましくやっていくタイプのお子さんが向いています」(西村さん)
とはいえお茶大附属中でも、内部生と中学から入学する外部生との学力差を体感する在校生は多いようだ。お茶大附属幼稚園から小学校に進み、現在5年生の女子児童の父親(45)は言う。
「中学にあがると、外部進学者との学力の差が大きくて戸惑う、という話は上級生の保護者から聞いています。内部進学者も少しずつ減っているようなので、中学受験も視野に入れ、娘は塾に通わせています」
この父親によると、女子の半数、男子のほとんどが小学校から塾に通っている印象だという。
一般の進学先として考えた場合、お茶大附属中は男子にとっていささか特殊だというのは、『受験と進学の新常識』などの著書がある、教育・育児ジャーナリストのおおたとしまささんだ。
「高校から女子校になるので、わざわざ中学受験をしてまで3年間だけ通おうとする男子は多くありません。偏差値も男女間で差があり、女子は66ですが、男子の偏差値は50(四谷大塚)程度です」
前出の西村さんも言う。
「高校受験に苦労する男子生徒は多い。もちろん、優秀で意識の高い生徒はいますが、最難関校である筑波大学附属駒場や筑波大附属に進学できるケースは稀です」
結果、お茶大附属中に対する保護者の評価は「二分されている」という。
「哲学的な幅広い教育を歓迎する保護者もいますが、実質的な受験指導をやってくれないと嘆く保護者もいます」(西村さん)
だが、大学受験まで見据えた場合、後々響いてくるのは、一見学力とは関係ないように見える精神性だという。
「伸びない子は『僕はこう思う』で止まる。伸びるのは、『こう考えている人がいるかも』と立場を変えて考えられる子です。学力を支える基盤としてお茶大の教育は効果的です」(同)
実際、お茶大附属小の校風は、悠仁さまに合っていたようだ。
冒頭の会見の折には、夏休みの社会の宿題で戦争について調べて広島行きを希望され、紀子さまと広島に行かれたことなどが説明された。秋篠宮さまは「自分の意見をはっきり言うようになった」「人の話にもきちんと耳を傾けるようになった」と語った。お互いのいいところを見つけて言葉にする「いいとこ見つけ」を学校で行い、家庭でも家族の「いいところ」を教えてくれたり、考えている時や困っている時には言葉をかけてくれたりもするという。
これまで、皇族は学習院に通うのが慣例だった。皇太子さまも秋篠宮さまも幼稚園から大学まで学習院に進んでいる。