理央奈ちゃんは現在、リハビリ施設を訪れ、再び歩くための訓練を受けている。自宅でも四つん這いになったり、腹筋をしたり、リハビリの毎日だ。
そんな過酷なリハビリでも「笑い」を忘れない。腹筋の様子を映した動画では、起き上がる度に異なる変顔をして家族を爆笑させる。その言動には明るさやセンスだけでなく、強さとたくましさを感じさせる。
今回の取材はリモートで行われた。理央奈ちゃんに動画について聞くと、しっかりした口調で、こう答えた。
「緊張して、たまに肉まんになることもあります。肉まんは恥ずかしくなってガチガチになるってことです。(動画の)コメントは1人で読んじゃダメと言われたので、ママと2人で読んでいます。うれしくなって自分も頑張ろうという気持ちになります。将来の夢は、ちいかわのうさぎちゃんになりたいです」
この日は幼稚園の卒園式だったという。小学校でやりたいことを聞くと、目を輝かせた。
「九九とか、国語の音読とか、給食当番とか楽しみです。友達づくりもしたいです」
両親が注ぐ長男・湊人くん(8)への愛情も、理央奈ちゃんと変わらない。佳寿美さんは「湊人が寂しい思いをしないように」と2人で出掛けたり、一日中一緒に過ごす日を定期的につくったりしているという。
理央奈ちゃんの日常を発信したSNSが大きな反響を呼び、外で声を掛けられる機会も増えた。佳寿美さんは「誰かを勇気づけようと始めたものではないのですが、『元気をもらいました』というコメントを見ると『やって良かったな』と思うし、『すごい子どもなんだ』と感じられるようになりました」と温かい目でまな娘を見つめる。
芸能事務所からオファーが届いたこともあったが、断った。理由はシンプルで「芸能人にしたいわけではない」と佳寿美さんは話す。家族全員の願いは「もう一度、理央奈が歩けるように」だ。
先にも述べたが、理央奈ちゃんを有名にしたのは、家事や育児を手伝わない父親を叱る動画だった。
「YouTubeを始めてから以前よりも手伝ってくれるようになりました。皿洗いだったり、子どもをお風呂に入れてくれたり」と佳寿美さん。「ねぇ、りおちゃん」と振ると、理央奈ちゃんは「30%。ほめてもらいたいなら、自分のこととかちゃんとやりなよ」とピシャリ。家族4人の笑い声が響いた。
遺伝子検査を受けて2年がたとうとしているが、まだ結果は出ていない。理央奈ちゃんの小さな体には、大きな希望と無限の可能性が詰まっている。(今川秀悟)