「ちゃんとやりなよ」とパパを叱る理央奈ちゃん
「ちゃんとやりなよ」とパパを叱る理央奈ちゃん

 理央奈ちゃんの低身長は「成長ホルモンの異常が原因ではないか」と考え、検査を受けることを希望していたが、先天性の骨系統疾患の疑いを医師に指摘される。遺伝子検査を受けたのは4歳のときだった。

 医師に「私にできることはないですか?」と尋ねたところ、「人間の価値は身長で決まらないことを教えてあげてください」と言われたという。

「ショックでしたが、一方で気持ちが楽になった部分もありました。背が伸びないのは『食事や運動のせいかな』と考えていたんですが、『理央奈の個性なんだ』と思って次のステップに切り替えるようにしました。ありがたい言葉でした」

 理央奈ちゃんの様子をTikTokで配信するようになったのはこのころだった。

「将来が不安になって。これから大きくなっても身長は110センチ、120センチぐらい。小学生の低学年ぐらいです。今後、偏見の問題が出てくるだろうと考えたときに、理央奈は内面に凄く素敵な部分があるので多くの方たちに知ってもらいたいなと考えたんです。もちろん、SNS上に子どもを出すのはリスクがあるので、夫婦で話し合いました。まさか、ここまで大きな反響をいただけるとは全く想像していませんでした」と明かす。

 YouTubeもTikTokも「台本はない」と話す。理央奈ちゃんが両親と話す日常会話を切り取ったもので、幼児とは思えない発想やワードセンスも視聴者からの反響を得て改めて気づいたという。

 裕一さんは、「家族とのコミュニケーションの中で培われたものかなと。僕も妻も日常会話でボケたり、理央奈のボケに突っ込んだりとかしているので。僕への説教も日常のままで。最近は僕が休日に掃除とか洗い物とかしよったら、『パパ、掃除したけん、麻雀に行けるわけでないんで』と先読みして言ってきます」と笑う。

 取材時間は短いものだったが、笑いがあふれる家庭だと容易に想像できる。だが、世の中は理不尽だ。理央奈ちゃんには、さらに大きな試練が待ち受けていた。

 昨年5月に側弯症の手術を受けて歩けない状態になってしまったのだ。背骨が曲がると肺や心臓を圧迫してしまう。病状の進行が速く命の危険があったため、手術に踏み切ったが、胸から下の感覚が麻痺してしまった。佳寿美さんの声が震える。

病気と付き合っていくのは本人なので伝えました。ショックを受けていました。『背が伸びない』と伝えたときは、まだ幼かったので『なんで? みんなと一緒に伸びたいよ』って言っていましたが、ちいかわのアニメに出合って、『りおちゃん、ちいかわと一緒で、小さくてかわいいんだよ』と伝えました。ただ今回は状況が違います。背が伸びる、歩けるという希望を持って受けた手術なので……。『一生このままってこと?』って泣いて。『そんなことないよ。一緒に頑張ろう』って伝えましたが、私たちもつらかった」

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