保護者が放課後の小学生をみられない場合、代わりに保育をしてくれる「学童保育」。共働き家庭にとっては“頼みの綱”ともいえる存在だが、このほどその運用基準が変更され、波紋を呼んでいる。
※「ギリギリの学童保育の現場 過去には支援員が「逆ギレ」も」よりつづく
これまで「支援の単位(40人以下)ごとに職員2人以上」「うち1人は都道府県による研修を受けた放課後児童支援員」の2点が「従うべき基準」だったが、昨年の秋、これらが緩和され「参酌すべき基準」となることが決まった。地方からの要望を受けての基準緩和だが、一方で保育の質は保たれるのかという、不安の声も聞かれる。
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関東地区のある学童保育の支援員の女性も、「何か起きたとき」のことが不安だという。かつて、子どもが転んで足を怪我し、この女性が救急車に乗り込んで病院に付き添ったことがあるという。そんなときも教室では他の子どもたちにおやつを食べさせたり、お迎えの保護者に対応したりしないといけない。残った職員も大変だったという。
「職員は今がギリギリの人数だと思います。もし今より減ってあんな事故があれば、もうアウトですね。特にマンツーマン対応が必要な子がいるときは、もっともっと人手が必要です」
都内で支援員をする男性も、現状より職員が減れば「子どもたちに悪影響がある」という。この男性が働く学童では、子ども40人につき支援員を含め職員が5人いるが、それでも問題は起きるし、全然足りない。
「学童は静かに座って勉強する場ではなく『休み時間がずっと続くようなもの』。男子はよく喧嘩を始めるので、職員が体を張って止めることもある。かつてもっと職員が少ない時期もありましたが、そうなると子どもたちを統制せざるを得ません。怒鳴って叱りつけて静かにさせたり、遊びを規制して全員に同じことをさせたり、言うことを聞かない子は学童をやめさせてしまったり。自分が親ならそんな場所に子どもを託したくないですよね」