写真はイメージです(Getty Images)
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作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、地方政治について。

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 統一地方選挙の季節。とはいっても、「この無風ぶりは何かしら?」と静けさしか感じないのですが、いざネットで各地の候補者の顔ぶれなどを見ていると手が震えるような恐怖を感じる今日この頃です。

 国際的に日本の女性がおかれている不平等加減は「ジェンダーギャップ指数」などで語られていますが、そんなね、「ジェンダーギャップ指数」とかおしゃれな言葉じゃ表現できないような恐怖を、日本の統一地方選には感じるのです。

 私は最近、山梨と東京の2拠点生活をはじめたので、たとえば山梨の状況を例に取ります。山梨県議会議員の定数は37です。現職の女性議員はたった1人です。今回の候補者48人中、女性はたった3人です。自民党は19人もの候補者を出していながら、女性候補者はゼロです。何より驚くのは、そもそも全体的に候補者が少なすぎて、誰も投票していないのに県議会議員になれる人が23人もいることです。は? まだ投開票日にもなってないのに、顔写真に当選印がついている候補者がもう23人もいるってどういうこと? なぜ定数の半分以上が「選ばれず」に議員になっちゃってるの? しかもそのほとんどが現職の高齢男性議員なんですけど。もっと言えば圧倒的に自民党議員なんですけど……。正直、軽いパニックになるというものです。

 とはいえ、そんな県は決して山梨県だけではく、東京のお隣の埼玉県だって93の県議の定数のうち23人が無投票で当選している(うち女性は無所属の現職1人。ほとんどが現職の自民党中高年男性)。千葉県の県議だって、95の定数中、既に25人もが無投票当選していて、その20人が自民党議員だ(うち女性は1人)。

 衝撃を受けつつ各地の県議選の候補者を調べまくっているのだけど……これはもうジェンダーギャップとかいう言葉じゃ対応できない事態なのではないか……と思えてくる。「ジェンダーギャップ」という言葉が意味を持つのは、男女平等社会を目指している社会において問題を可視化し解決していくためであって、そもそも、女のいない世界ではギャップすら生まれねぇよ、です。

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東京にいると日本を見誤る