今年は春の統一地方選と夏の参議院選挙が12年に1度重なる「選挙イヤー」。この重要な年に、公明党が試練を迎える。党を支援する創価学会員の団結力に危うさが見えつつあるるのだ。背景にはSNSの普及などもあるようだ。
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過去には選挙活動に邁進した現役の創価学会員の女性(50代)も、今は公明党の支援をやめた。女性は関東在住で祖父母の代から続く「3世」。絶対的平和主義の信念のもと、10代後半から集票活動を始め、300~400票を集めた時期もあったという。だが、03年に公明党がイラク戦争を支持したことに仰天し、支部の幹部、友人、身内にも「反対の声を上げるべきだ」と詰め寄ったが、反応はなかった。公明党議員からも、納得できる説明はされず、自分の信念が根底から覆された気がした。
「自分だけがおかしいのかもしれないと、少し距離を置いて公明党の活動を見ていました。でもその後、多くの国民の反対を押し切って安保法制を強行採決したのを見て、もう変わらないのだなと悲しくなりました」
沖縄県知事選でも、女性は「辺野古埋め立てに反対なので公明党推薦候補は応援できない」と地区の会合で発言した。すると、昨年10月、県や支部の幹部が女性の自宅を訪れ「なぜ会合であんなことを言うのか」などと問い詰められたという。
「公明党を応援しないことを非難されました。『あなたが完璧でないのに公明党議員が不完全だというのはおかしい』『今後も会合で発言するならその内容が正しいという証明を持ってこい』とも言われた。私は自由に発言できない組織なら離れます、と言いましたが除名にはなっていません」
女性はツイッターでも発言をしており、リベラル意識の高い人たちに拡散されている。
組織に詳しいある現役会員は、このような創価学会の「二面性」は、SNS時代では機能しづらくなっていると分析する。
つまり、この会員いわく、表向きは「公明党支援は個人の自由」と言いつつ、実態は「公明党支援と信仰活動が一体になっている」という。前者を否定すれば「政治的自由を否定する教団」とのそしりを受け、後者を否定すれば「組織運営が成り立たずに選挙戦が戦えない」というジレンマを抱えている。そこで、創価学会はある「手法」でこれを両立させていたという。