ポイント還元に伴って、クレジットカードをはじめ電子決済(キャッシュレス)の普及も見込まれる。

 18年に注目されたテーマにも、人気が続くとみられるものが二つあるという。

 ひとつはAI(人工知能)。さまざまな業界で採用や活用が広がっている。サイバーエージェントのグループ企業でクラウドファンディングのマクアケなど、

「関連するベンチャー企業の新規上場もあるだろう」

 と、期待されている。

 次世代通信規格の5Gでは、先頭を走る中国の通信機器メーカー・ファーウェイの製品が排除されるなど、国内の基地局建設で勢力図が塗り替えられる可能性もある。

 NTTドコモ、KDDI系のau、ソフトバンクの3大メガキャリアが今年、限定的なサービスを開始する計画を持つ。大容量のデータをより高速に送信できる5Gは、IoT(モノのインターネット)を実用化するための中核的な技術でもあり、ビジネスチャンスの領域は広い。楽天が10月に自前の通信網で携帯電話事業に本格参入するという話題もある。

 投資情報を発信するカブ知恵の社長、藤井英敏さんは今年の相場について慎重な見方をしつつも、

「これらのテーマに沿った事業内容で、しかも業績が伴った銘柄だけが選別の対象になると考えています」

 そして、8大テーマのなかでは、「あえて挙げるならば」と留保するものの、

「イチオシは電子決済(キャッシュレス)。消費増税の実施が10月に迫り、また、最も身近で分かりやすいテーマだから」

 複眼経済塾の塾長として全国のセミナーを飛び回る渡部清二さんも同調する。

「大本命はキャッシュレス。日本のキャッシュレス化は世界的に遅れているとされているが、JR東日本の交通系カード・スイカでもわかるように、実は世界に先駆けて好事例を出しています。今回は消費増税で半ば強制的にキャッシュレス社会になる可能性がある」

 増税の延期もあり得るが、実施されれば関連銘柄の人気に拍車がかかるとみている。

「無人レジなどの普及が加速し、付与されるポイントの経済圏も急拡大する期待がある」として、一覧表以外で「楽天、サインポストなどが候補になる」と語る。

 日本IRプランナーズ協会理事長を務める経済アナリストの木村佳子さんは、「わかりやすいのは改正入管法」と前置きしつつも、個人的にこっそり注目しているという「大穴」のテーマを明かす。

「国土強靱化です」

 とはいえ、老朽化した橋や高速道路などを補修する従来の意味とは異なるそうだ。

「有事を想定した国土強靱化政策です。『首都機能分散』が再び言われつつあるのも、防衛や安全保障を強く意識した『強靱化』と考えていいのではないでしょうか」(木村さん)

 今年の有望8大テーマと該当銘柄については、知名度などから独断でピックアップした参考例にすぎない。具体的な銘柄検討や実際の投資は各個人の責任で。これは言うまでもない。(証券ジャーナリスト・天野秀夫)

AERA 2019年1月14日号より抜粋