もっとも同年の千葉市議補選で元秘書の岳田雄亮氏を当選させられなかったが(今回の市議選で当選)、そうした石井氏の勢いは、かつて師事した政界の暴れん坊「ハマコー」こと故・浜田幸一元衆院議員を彷彿(ほうふつ)させる。「最後には英利氏を支持して勝利させ、麻生派に恩を売るというのが石井氏の思惑ではないか」と前出の関係者は推察する。

 そもそも千葉5区は4月10日現在で8人が立候補を表明しているという激戦区。野党では立憲民主党のほか、国民民主党と日本維新の会、共産党、政治家女子48党が独自候補を擁立している。

 もし野党がひとつにまとまることができれば、自民党に勝利する可能性が出てくるが、それを困難にしているのが立憲民主党の小西洋之参院議員の「サル発言」だ。

 小西氏は3月29日の参院憲法審査会の幹事懇談会の後、記者団に対して「(衆院憲法審査会を)毎週開催は憲法のことなんか考えていないサルのやること」などと発言し、ほぼ毎週開催が定例化しつつある衆院憲法審査会をバカにしたように批判した。

 もっとも小西氏にすれば軽口をたたいた程度の認識で、外に漏れるとは思わなかったようだ。翌日に会見を開いて「サル発言はすぐ撤回した」と主張したうえ、「そもそもオフレコ発言だ」と報道したメディアに責任転嫁し、法的手段をちらつかせた。

 しかしこれが問題をいっそう大きくし、メディアのみならず、各政党は小西氏の発言に猛反発。日本維新の会の馬場伸幸代表は、前国会から構築してきた立憲民主党と政策協議を行う関係を凍結し、小西氏問題についての追及チームを設置することを要求した。

 また国民民主党の玉木雄一郎代表も「自称憲法学者の小西議員」と、衆院憲法審査会で小西氏の言い訳発言を皮肉っている。

 残るは共産党で、志位和夫委員長は「個々の議員の発言についてコメントしない」と批判しなかったが、立憲民主党と選挙で共闘するかどうかは不明だ。そもそも泉健太代表が4月7日の会見で「(候補者調整の)模索はするが、(共産党に)候補者を降ろしてくれという協議はない」と述べており、立憲民主党から働きかける様子はなさそうだ。

会見で厳しい表情で質問に答える立憲民主党の泉健太代表=2023年3月31日
会見で厳しい表情で質問に答える立憲民主党の泉健太代表=2023年3月31日
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