――では、お口ポカンを放置することでどのようなリスクが伴うのでしょうか。
口呼吸により、中耳炎、副鼻腔炎、新型コロナウイルスを含めた感染症にかかる危険性が高くなり、歯並びが悪くなる、虫歯や歯周病、鼻炎や睡眠障害に伴う学力の低下なども確認されています。中・長期的には体の中に慢性の炎症が出ることで、統合失調症、うつ病、高血圧などの生活習慣病などにもかかりやすくなります。
お子さんが、お口ポカンの症状に当てはまるのか、心配な親御さんもいらっしゃるでしょう。誕生日のろうそくを吹き消せるかどうかがいい目安になると思います。唇を丸めたり、すぼめたりすることができないと吹き消せません。
――お口ポカンの認知度について、どのように感じていますか?
まだまだ低いと感じます。例えば、鉛筆やお箸の持ち方は大人がしっかり教えますが、鼻呼吸はいつの間にか身についているモノなので、子供に伝えないケースが多い。子供たちの花粉症の低年齢化や、スマホによるYouTube視聴時間の増加などで全身運動の機会が減り、呼吸が浅くなっていることをお伝えしましたが、私たちを取り巻く環境が時代とともに変化していることを理解する必要があります。
近年は新型コロナウイルスの影響で、子供たちは小さいときからマスクをつける生活になり口呼吸が定着しています。子供が輝ける未来になるかは、環境が重要です。親の無知で子供が苦しむのはかわいそうですし、病気を体の体質、遺伝と決めつけるのは危険です。お口ポカンは親が気づいて対策を講じれば、子供は年齢が早ければ早いほど対応力が高いので、改善のスピードも上がります。
――子供がお口ポカンに悩む親も多いと思います。最後にご助言があればお願いします。
いろいろな方法を試した上で、お口ポカンが治らないようでしたら、小児歯科で診察を受けたほうがいいでしょう。歯の治療だけでなく、食生活、日常生活で必要な取り組みなどを教えてくれる専門医の方が全国にたくさんいます。お子さんが症状から解放されることで、親も楽になります。親子で素敵な未来を築くためにも、お口ポカンを放置せずに治していきましょう。
(構成:今川秀悟)