


AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。
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売れっ子ミュージシャンを夢見るリアムと広告会社で働くナタリーの出会いはロンドンのレコード店。1990年代の英国ロックを代表する「ブラー」のベストアルバムを手に取るナタリーに、リアムは「俺ならそれは買わない」と声をかける……。
ブラーの名盤アルバムと同タイトルがついた本作は、UKバンドの楽曲をふんだんに起用。男女の恋の行方を音楽に乗せて、英国ロック好きにはうれしい映画になっている。
リアムを演じたのはジョシュ・ホワイトハウス(28)。実際にバンド活動も行っているミュージシャンであり、モデル業もこなす端正なルックスの持ち主だ。リアム役はオーディションで射止めたが、それまでの出演作は主演映画1本ほか2本の端役のみ。聞けば「オーディションを8年受け続けてきた」と言う。
「その週によってばらつきはありますが、毎週何かしらのセリフを覚え、1週間に3本も4本もオーディションを受け続けてきました。でも、落ちたからといって俳優を諦めようと思ったことはありません。オーディションを受けてみないと自分に合っている役がわかりませんし、僕はできると信じていましたから。受けるだけの価値はあると思っています」
そんな「いつも期待せずにチャレンジを続けていた」ジョシュだけに、「リアムに決まった」という吉報をエージェントから聞いた時は逆に「嘘でしょー!?」と叫んでしまったそうだ。
映画では「ヘッドクリーナー」というバンドでボーカルとギターを担当。撮影前にプレイリストをもらい、ひたすら聴き続け自分のものにした。
「自分の魂から出てくる音楽とは違うので、本来の自分のバンドでないバンドで演技するのは不思議な感じ。でも、映画では僕が書いた歌詞もあったので曲との繋がりは感じられました」