「炎症が治まったら、椅子に座ってできる足上げ体操からスタートし、痛みが減ってきたらウォーキングなども勧めています。痛みで怖くて、足を地面につけられなくなってしまっている場合は、痛いひざに体重をかけずに、寝ながらできる筋力トレーニングから始めるとよいでしょう」(中川医師)
減量は少ない量でもひざにかかる負担は減らせる。階段の上り下り時には体重の4倍もの負荷がかかるためだ。痛みも体重の5%程度の減量で緩和が期待できるという。
■ひざのメンテで痛みは予防できる
変形性膝関節症の新たな治療方法として「再生医療」という選択肢もある。関節注射という簡便な方法でおこなえる治療として「多血小板血漿(PRP)」や“次世代PRP”「APS療法」などがある。いずれも、自分の血液を少量とり、特殊な技術を用いて血液中の血小板が多く含まれる部分のみを抽出して膝関節に注射する。APS療法はより抗炎症性を高めたものだ。
再生医療では組織の修復が促進され、痛みの軽減効果が期待できる。他の治療と併用するとより効果的だという。ただし、自費診療のため費用は高額となりやすく、その効果も1年程度と長期的な改善までは期待しづらい点にも注意が必要だ。
「変形性膝関節症は年をとれば誰にでも起こりうる病気。予防の観点からも、日頃からひざ周りの筋トレや柔軟体操でメンテナンスしておくことをお勧めします」(勝山医師)
(文・石川美香子)
※週刊朝日2023年4月21日号より