「しかし各大学は運動部の強化が大学のブランドを高めるということに気付いた。スポーツは自治活動だから介入すべきでないという反対も根強かったが、大学の経営資源と考える声に勝てなくなった」(同)

 そんななか出てきたのが「大学スポーツ協会(略称UNIVAS)」の議論だ。17年3月策定の「第2期スポーツ基本計画」で、「大学横断的・競技横断的統括組織(日本版NCAA)の創設の支援」が掲げられ、来年2月の一般社団法人設立を目指している。背景には「日本再興戦略2016」にも謳われた「スポーツの成長産業化」がある。

「それまで利益を生まないコストセンターであった大学スポーツを、収益をもたらすプロフィットセンターに転換させる施策目標を掲げています。17年度には大学スポーツの振興を目的とした1億円の予算がはじめて計上されました」(同)

 スポーツの成長産業化という国の施策があり、大学は運動部を経営資源と位置づけ始めた。しかしこの枠組みは第一に学生アスリートのためのものであるべきと友添教授は考えている。

「怪我をした時の保険制度といった安全面でのケアや、学業基準の策定もし、勉強もさせる。競技引退後のことも考え、人格教育とスポーツを結び付けていくことも重要です」

(編集部・小柳暁子)

AERA 2018年11月5日号