また、上記のような多答クイズの場合、脳にプレッシャーをかけて、記憶を強化する方法もあります。私は昔、千葉県の京葉線沿線に住んでいました。東京駅の京葉線ホームから他の路線への乗り換えは歩いて10分ほどかかることを利用し、歴代の内閣総理大臣とアメリカ大統領の名前を全員、歩きながら小声で言う練習をしていたことがあります。最初はまったくできなかったのですが、毎日このゲームを続けていくと、だんだん名前が出てくるようになりました。頭に思い浮かべるだけでなく、クイズ番組で解答席にいる感覚で、実際に声に出すのがポイントです。

 同様のやり方で、「電車が次の駅につくまでに多答クイズの答えを言い切る」という練習もあります。「一等星の名前21個」や「二十四節気」を山手線で駅と駅の間に言い切ります。机の前に座っているより、体を動かしている移動中は脳が活性化する時間帯です。どんな状況も、工夫次第でアウトプットのトレーニングに変えることができます。

 私はあまりやらないのですが、語呂合わせの天才もクイズの世界にはいます。「アパセロス ベアパアロベト ロロヘメロ トメミュモンモス ロソバアシ」って何かわかりますか? これは2000年までの夏のオリンピックの開催地(中止分含む)の頭文字をとった、短歌です。

 クイズ番組にもよく出演している大森孝宏さんが、あるサークルのなかで突然吟じて、周囲が騒然となったことがありました。大森さんは、このような語呂合わせやダジャレを自身で大量につくり、覚えているそうです。驚異的ですよね。他にも、アカデミー作品賞を全て歌にして覚えているというクイズ王の方もいらっしゃいます。

(通信社スポーツ記者・オープン大会「勝抜杯」主催者 三木智隆/生活・文化編集部)

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