
俳優の佐藤健さんが、AERAの表紙を飾った。この10年を振り返っての思いや、役者業への考え方を聞いた。
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ドレッドヘアが似合っていて笑顔が可愛くて。ドラマ「ROOKIES(ルーキーズ)」で取材した時の佐藤健の印象は「愛嬌のある子」。まだ10代だった彼は人好きのする愛らしさがあった。
それから10年。NHKの大河ドラマや朝の連続テレビ小説などにも出演し、子
どもから高齢者まで幅広い人気を獲得。国民的俳優ともいえそうな成長ぶりには目を見張るばかり。売れっ子になった彼のインタビューは……愛嬌のある笑顔も丁寧な話しぶりも変わらない。あぁ、記者冥利に尽きる!
この10年を振り返ってもらうと、
「特に20代半ばくらいまでは、一作一作がどれも転機と言えるほど、意味のある作品ばかりに出演させていただいたという実感があります」
「仮面ライダー電王」の主演で注目され、「ROOKIES」で世間に認知されるようになった。その制作チームと再び手がけたドラマが「義母と娘のブルース」だ。大河ドラマ「龍馬伝」で監督の大友啓史と出会い「るろうに剣心」シリーズ、さらに映画「億男」へ。切れ味抜群のアクションを披露した「るろうに剣心」の主演で、映画の主演オファーが舞い込むようになった。一つの作品から次々と仕事が広がっていくのは、「いい作品を作るために最大限の努力をする」ことを惜しまない彼の姿勢ゆえだろう。佐藤健は誰もが一緒に仕事をしたくなる俳優なのだ。
2018年の後半以降は映画出演が続く。来年3月で30歳。今後の目標は、
「以前は自分の格を上げるために作品選びをしていたこともありました。でも、
役者には終わりがない。1等を決められない世界だから、たどり着く先がないわ
けです。そう思うと、究極の希望は、『僕がやりたい役だけをやっている状態』な
のかもしれません(笑)」
(文中敬称略)(フリーランス記者・坂口さゆり)
※AERA 2018年10月22日号