その第1回東京マラソンに出場して見事完走。以降は、多くのマラソン大会を走破している。林さんが考えるようになったのは「特に女性に実践してほしい」というリズムを意識したランニング法だ。まず走るときのリズム。ゆるい一定のリズムを呼吸で刻んで走ってみると、ご飯がおいしくなるし、メンタルの変化も大きいと気がついた。
「実は歯科医と関係の深い噛むという行為にも、人それぞれに一定のピッチがあり、自分に合ったリズムで噛むとセロトニンという幸せホルモンが脳内に放出されることがわかっている。ランニングも似ていて、その人に合ったリズムで走れば、気持ちが落ち着き、幸せを感じることもできるんですよね」
生理や排卵など、約1カ月のリズムがある女性の場合は特に、こうしたリズムが重要だと林さんは考える。トレーニングメニューも、こうした体の周期に合わせて組み立てることを、女性ランナーに提案している。
「生理のときは骨盤が開くなど、女性の体の周期は骨格とも関係しています。このリズムを無視して過度に練習すると、体に不調が出ることが多いのでは」
具体的に生理前は、スロージョギングなど燃焼系の有酸素運動、生理中は骨盤が開いているので、無理せず徐々に軽い運動を。一方、生理が終わったあと5日後くらいからはストレッチを加え、その後タイムトライアルなど、追い込むトレーニングをするのに向いているという。
ちなみに閉経前後でも心配ご無用。満月を生理日に見立て、28日間の周期をランニングによって作れば、長年慣れ親しんだ体内時計のリズムを、呼び戻せることもあるとか。イエース!
もうひとつ、女性ランナーでありがちなのは、がんばりすぎてしまうこと。
「今日より明日、明日より明後日と、記録が伸びないと気がすまなくなってしまう」
と、ヤケ走りのデスクも言う。自分にも心当たりがある。たった3センチほどの段差で派手に転ぶとか、好きなタレントの名前を忘れるとか、脳を含めた身体能力は右肩下がりの一途。ところが毎日走っていれば、誰でも走れる距離は延びる。自分が若返ったと勘違いする。