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理不尽な言動で周囲を振り回す他人に、心を乱されることはないだろうか。そんな“アホ”との付き合い方を伝授した書籍『頭に来てもアホとは戦うな!』(田村耕太郎 著)が、シリーズ80万部を突破した。新年度が始まり、新たな環境でアホと対峙する機会も増えてくるだろう。

「アホとは戦うべきではない」が本書の鉄則だが、看過できずに戦ってしまう人もいる。 今回は「責任感が強い人」、「プライドが高い人」、「おせっかいな人」にみられがちな落とし穴を解説する。

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【責任感が強い】

これも一種の正義感だが、背景にあるのが自分の正義ではなく、組織のためのものであるから献身的であり、身勝手な正義よりレベルが高い。人事や業績や戦略に責任を感じているから、他者と戦ってしまうのだ。こういう人がいてくれたら組織にとって奇跡だといえるだろう。身を挺して組織のために組織内のアホに立ち向かう人なんて普通はなかなかいない。

でも、やり方に問題があると思う。どんな理由だろうが、アホに思える相手とは戦ってはいけない。それが自分の信念のためであろうが、所属している組織全体のためであろうが、彼から見たら、向かってきているという事実は同じである。アホは組織全体のことなどそんなに考えてはいない。そもそもだからアホなのだ。

責任感を感じているなら、組織のためならば、戦ってはいけない。相手を気持ちよくさせて組織のために誘導しないといけない。

先ほど述べたように、嫉妬社会・日本では、能力ある本来なら出世してほしい人が、多くのアホに結託され、途中で足を引っ張られ、引きずり下ろされてしまいがちだ。アホは権力にすり寄ってきた場合が多いので、その分彼らは権力の中枢に発信力を持っている。そういう人間を敵にして、怒らせては組織のためにならないのだ。

他者を組織全体のために誘導するというのは相当な高等戦術であり、本当にそれができたら素晴らしいが、できないとしても、立ち向かって怒らせて制御不能にしてはならない。

【プライドが高い】 

プライドというものはほとんどの場合、邪魔にしかならない。功を奏するプライドの持ち方は、自分の仕事の質に対して持つプライドのみとも言ってよい。

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「おせっかいほど危険なものはない」