そして何より、トランプの共和党内における基盤がいつのまにか強力になりつつあることは、非常に重要な変化です。2018年の予備選挙はほぼ終了なのですが、上下院、知事を合わせこれまで37人立候補したうち、共和党の主流でも非主流でもない、トランプ支持の「トランピズム」というべき新たな層が共和党内の支持を固め、なんと35人が党指名候補となったのです。
共和党が伝統的に掲げてきた自由貿易、財政保守主義、タカ派路線外交といった政策を放棄または著しく後退させようとする勢力が党内で力を増しているということで、こうなるとトランプはタダのアウトサイダーであって、基本政策は共和党だから……などとぬるいことは言っていられません。
そして、誰よりもトランプ大統領を強く非難してきた重鎮ジョン・マケイン上院議員は死去。自由貿易主義の旗を振り共和党の希望の星と言われたポール・ライアン下院議長も引退を表明。実は今回引退する32人のうち、トランプを支持してきた人は2人だけ。いよいよトランプ大統領が共和党そのものをまとめ始めたことは、11月の中間選挙に向けて非常に重要な意味を持ってきます。
※AERA 2018年9月10日号