ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
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(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 3週にわたり、AIの進歩と今後の経済、社会変化について書いてきました。非常に重要なことなので、機会があるごとにまた触れたいと思います。

 さて、アメリカ経済はこの1カ月も実に好調で、今年の下落で一番出遅れていたS&P500もついに史上最高値を更新。これで名実ともに「トランプショック」は払拭されたことになります。トランプ大統領は先日、「自分が弾劾されたら株価は暴落する」とまで言い切りましたが、あなた自身のせいで株価が低迷したという事実を忘れないようにしてもらいたい(笑)。

 マクロ経済的には問題になる数字は全くなく、例えば失業保険申請件数(週間)は20万人台の前半で張り付いたまま。これは1970年代の数字と同様で、現在当時の3倍近い労働人口があることから考えると驚異的とすら言えます。

 難航すると思われていたメキシコとの貿易交渉も見事まとめてしまいました。当初国境の壁の代金を払わないとアメリカは交渉しない、などと言っていたわけですから、この「ディール捌き」はある意味見事。域内生産率を変えることにより合意に至りましたが、このあたりのまとめ方はやはり普通の政治家ではありませんね。トランプ大統領誕生の折、一緒に仕事をしたことがあるワタクシがプレジデントオンライン「トランプ大統領の素顔」に書いた特徴がそのまま出ていると言えます。この人が騒いでも、本気にしてはいけないのです。

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