瀧澤さんによると、競争が激化するホテル業界では、独自のコンセプトを打ち出すことで差別化を図る新規参入が急増している。ここもその一つで、運営するジュネイは2016年に設立された。徳永えみ社長はフィデリティ投信の元アナリスト。日本の歴史や伝統文化好きが高じて、それらを内外に伝えたいと起業した。地場の伝統産業との連携にも力を入れ、京都の逸品にこだわる。瀧澤さんも、

「京都をフィーチャーしたホテルは多いが、立地や規模、調度品に至るまでこれほどまでに京都を感じられる宿は貴重」

 と、ほれ込む。

「私どもは8部屋しかないからこそ、究極のおもてなしができます。お客さまには、どんどんわがままを言っていただきたい」(徳永さん)

(編集部・石臥薫子)

AERA 2018年9月3日号より抜粋