トランプ米政権は自国優先主義を推し進め、世界各国で反米感情を引き起こしている。足もとの米国内でも、米国を私物化する暴走を許すまいという現政権を疑問視する動きが起こっている。
唯一、外交面で高評価の対象になり得る米朝首脳会談を通じた朝鮮半島の非核化も一向に前進しない。トランプ大統領は、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長との2回目の首脳会談の可能性をほのめかしているが、国際原子力機関(IAEA)は8月21日、北朝鮮が核活動停止の兆候を全く見せていないとする報告書を公表したばかりだ。トランプ氏が個人的な好意を抱いているとされるプーチン大統領のロシアについては、米CNNの8月の世論調査で、米国民の57%が「トランプ大統領が友好的すぎる」と批判的だった。北朝鮮を「敵国」とする回答は59%あり、14年の調査時との比較で4ポイント上昇している。
それでもトランプ大統領は、自身のツイッターで絶賛し続ける自らの政策を評価しない報道は「全てフェイクニュース」として切り捨てる。自分を非難する人物は実名をあげて徹底的にののしる。言葉遣いが、ますます挑発的になってきている。
「権力に酔っている。ホワイトハウスの権力を乱用している」
8月17日、米中央情報局(CIA)のブレナン元長官がテレビの報道番組に出演し、トランプ大統領を痛烈に批判した。
米国では、現役職員への助言などのため、元政府高官の一部に機密情報へのアクセス権を認めているが、トランプ政権はブレナン氏の権利を剥奪した。さらに連邦捜査局(FBI)のコミー前長官ら9人の権利剥奪も検討している。いずれも政権批判をしてきた人たちだ。
「ブレナン氏は多くの米国人の思いを代弁したと思う。トランプ大統領は権力維持しか考えていない。これが米国の大統領なのかと思うと、恥ずかしい」
そう話す米ミネソタ州内の自治体の福祉局勤務、ホイットニー・ピューツさん(26)は、自身のフェイスブックを使い、11月の中間選挙の与野党候補者を決める予備選挙で、投票に行くように呼びかけている。中間選挙を前に、現政権を疑問視する議論が活発化していると感じている。全米の新聞約350紙が大統領を非難する社説を一斉に掲載したのも、その一例だ。一方で、今も大統領支持率が40%超もあることにも驚くという。