ブランコ・ミラノビッチさん
ブランコ・ミラノビッチさん
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 世界銀行の主任エコノミストも務め、日本などの先進国中間層の成長率の鈍化を見破り、的確に分析したブランコ・ミラノビッチ氏。パンデミックでのワクチン分配で露骨になった「世界的不平等」を振り返り、世界の格差をなくすためには、今後は中国ではなくアフリカが大きな影響力を持つと話します。最新刊『2035年の世界地図』で描いた資本主義の未来予想図を、一部抜粋・再編して公開します。

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■ワクチン配分で露骨になった「不平等」の問題

――発展途上国と先進国の間の格差に焦点を当てたいと思います。パンデミックにおいて、途上国が十分な量のワクチンを入手できないことが大きな問題となりました。先進国が、自国民のために十分な量のワクチンを確保しよう、と競ったためです。途上国が、先進国や世界保健機関(WHO)に対して不満を抱いていることは、想像に難くありません。パンデミックへの対応において、途上国への配慮が十分であったと思いますか。

 十分だったとは思えません。やはり、国家の権力の問題です。ナショナリズムの力は非常に強いものであり、こうなったのはある程度理解できます。政府というものは、選挙で選ばれるか、少なくとも国民から支持されるかに依存しているからです。 

 ですから、ワクチンを他国と共有することに積極的ではありませんでした。特にコロナ禍の初期には、ワクチンを入手できる裕福な国々が、貧しい国々と共有しようとはしなかった。そして、裕福な国では人口の約70~75%がワクチン接種を済ませたのに、貧しい国ではまだ4~5%程度しか接種を終えていないというような不平等が生じました。非常に深刻な分断です。

 この点は、私がグローバルな不平等について話す時によく取り上げる点です。

 グローバルな不平等といえばたいていは所得の問題を指すのですが、所得に反映されないものもあるのです。例えばより高い罹患率や死亡率、そして家族の面倒を見ることができないことなどです。

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世界中の「不平等」がもたらすものとは?