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 こうした点は、特に他の人と会わなければならない仕事の人たちにとって、特に非常に重大なものでした。お客さんが来ないと所得を失いますし、あるいはパンデミックが怖くてお客さんに会いに行けなくなり、結局は所得を失うわけです。一方、豊かな人々は、一般的にリモートで仕事をすることができた。ここに大きな溝があったのです。

 ですから、あなたの質問に答えるならば、答えは「ノー」です。

 裕福な世界は、なすべきことをなしてこなかったと思います。また、多くの人と同じように、私はWHOの仕事ぶりにも失望しています。第一に、十分な警戒措置をとらなかったこと。第二に、ウイルスの起源を特定できなかったことです。ウイルスの起源が重要なのは、同じことを繰り返してはいけないからなのです。誰が悪いかではありません。繰り返してはいけない、ということが大切なのです。

■2035年の世界地図は「アフリカ」によって塗り替わる

――多くの途上国はロシアのウクライナ侵攻に関して、ロシアへの批判や経済制裁で欧米に完全に同調することには消極的です。そこで、今後の国際秩序維持の観点から、途上国の重要性をどのようにお考えですか。

 発展途上国は、非常に重要だと思います。なぜなら、人類の過半数を代表しているからです。また、国の数でも、過半数を占めます。しかし、経済力では過半数を代表していません。政治力についてもそうです。

 各国が異なる立場を取る理由は、実にさまざまです。まず言わなければならないことは、ロシアが明らかに国連憲章を破った、ということです。しかし、国連憲章の違反は、以前は米国が行っています。自国が国連憲章に違反しておいて、今度は誰か他の国が違反したときに、世界中の人々に「回れ右」して、その違反を攻撃するよう求めることはできません。言い換えれば、行動には一定の一貫性が必要なのです。

 実際のところ、私たちは、冷戦終結から30年以上の間、他国を侵略しないなど最低限のルールが守られるような国際構造を作れていなかった、ということなのです。

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アフリカが、今後の世界にもたらすもの