「海を見ていた午後」(荒井由実)から。


 山手のドルフィンは
 静かなレストラン
 晴れた午後には
 遠く三浦岬も見える
 ソーダ水の中を
 貨物船が通る
(JASRC 出 1808546-801)

 どうだろう。海のない山梨のマキタ少年に三浦岬を見せてくれた曲だ。更に、駄菓子屋で買い食いぐらいしかしたことがない子が、「山手のドルフィンって静かなレストランなんだよな」と思ったのだし、己を投影し過ぎて、最後にはすっかり「一人で来てしまった……」と感傷的になった。どこへだ? わからない。とにかくいざなわれたのだ、ユーミンの自慢に。

 しかし、もし私がこの世界観の画像を現代のInstagramでアップしたらどうだ。「いいね」ももらえそうだが、半面、さまざまな声が飛んで来そうじゃないか。曰く……
「ソーダ水の写真があざとい」

「その頭でナルシストか!」

災害で苦しんでいる方がいらっしゃる時に!」

「あなたのような人が安倍自民を増長させる」

 自慢には技がいるのだろう。しかし、“自慢欲”は送受信双方で昇華されている時代なのは間違いない。

「自慢と非難」はイチャイチャ補完しあってる。剛力さんにはユーミンを聴いていただきたい。

AERA 2018年8月13-20日合併号

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