子どもが憧れるヒーロー、仮面ライダー。今秋から始まる「仮面ライダージオウ」で平成シリーズは20作品目を迎え、最後となる。今年は石ノ森章太郎生誕80周年。平成ライダーたちが世の中に与えた影響とは?
【写真特集】こんなライダーもいた!?“平成仮面ライダー”すべて見せます!
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平成ライダーを語る上で忘れてはいけないのが、イケメン俳優を世に送り出し続けた場ということだ。平成ライダーシリーズでプロデューサーを務め、数多くの俳優を見いだしてきた東映テレビ企画制作部チーフプロデューサーの武部直美さんは振り返る。
「イケメンという言葉が出てきたのは肌感覚的に『龍騎』のころ。何人かの男の子たちでイベントをやったら女の子がたくさん来て『キャー!』という声援が上がって。女の子が仮面ライダーのイベントに来ること自体に驚く時代で、あれ? これはイケる?と(笑)」
ライダーや戦隊ものに出演しているイケメンヒーローに光が当たり注目が集まることで、若手俳優を扱う事務所も増えた。
「以前は女の子に比べて若い男の子が育つ土壌が少なかったと思うんです。そこにライダーが来て、言葉は悪いけど男の子でも商売になるぞと思った事務所さんが増えた。最初の頃はどこの事務所に声をかけても、ライダーや戦隊は色物扱いというか、出たら終わりだ、みたいな感じで人を集めるのに一苦労だったんですけど」(武部さん)
今や若手人気俳優の代名詞のような菅田将暉、竹内涼真、福士蒼汰、佐藤健、瀬戸康史などを次々と発掘してきたが、発掘するだけじゃなく育ててもきた。
●継続視聴は3割くらい
演技初体験でも、1年間ライダーを務める間に、俳優としても人としても大きく成長する。
「昔はよく『うちは俳優学校じゃない!』って監督とかカメラマンが現場で怒鳴っていた。私も『鎧武』のときに、キャストが仲良くなりすぎて本番前にふざけ合うから『撮影現場では常に緊張感を持って!』とお説教したことも。今の子は怒られ慣れてないからカルチャーショックを受ける子もいるけど、そんな環境に身を置くとどんどん上手くなるし、朝から晩まで過酷な撮影スケジュールをこなすためには、自ずと人間的にも成長するものなんです」(同)