劇団SET(スーパー・エキセントリック・シアター)が創立40年を迎える。主宰の三宅裕司さんはこの夏、劇団「こどもSET」を旗揚げする。
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劇団の知名度が飛躍的に上がったのは1984年、ニッポン放送の「ヤングパラダイス」で、主宰の三宅さんがDJとして人気を集めたのがきっかけだ。劇団からは岸谷五朗、寺脇康文らスター俳優も誕生した。走り続けて約40年。気づいたら自身は古希に近づいていた。
「SETの将来をずっと考えてまして。僕の代で終わっちゃっても全然構わないけれど、最後まで努力はしようかな、と」
行き着いたのが、役者を子どものころから育てることだった。
目まぐるしい展開、歌って踊って芝居して……。「ミュージカルアクションコメディー」を標榜するSETでは、役者が習得すべきことは山ほどある。
「研究生は18歳以上。そこからあれこれ身につけていくと、活躍できるころにはどうしたって23、24歳です。一番いい時間が短くなっちゃうんですよね」
こどもSETの旗揚げ公演は、今年8月。以後、年1回の本公演を行う。初公演はSETでも上演した「カジノ・シティをぶっとばせ!!~丁半コマ揃いました~」。芸者の置屋を営むマフィアのボス、カジノを誘致したい市長ら、一癖ある役ばかりだ。今はオーディションで選ばれた小1から中3までの50人が、稽古の真っ最中だ。
演技やダンスなどの経験値はバラバラ。注意を守る子もいれば、やんちゃな子もいる。
「フリーダムな子がものすごい魅力を秘めているかもしれないし、劇団という団体行動に向かないかもしれないし。やりながら見極めていくんです」
それぞれの役者の「芯」を見つめる、まっすぐな視線は昔から変わらない。劇団OBの寺脇康文さんは入団後まもなく初稽古で、どんなに大声を出しても「寺脇、熱気がない」と三宅さんに何度もダメ出しされたと、インタビューで明かしている。