「いわゆるネトウヨは50代男性が多いという話があります。そこに岸田首相への不満がたまっているのを感じるわけですが、立憲民主党は彼らの受け皿にはならない。そういう意味で、維新の会が注目されている。9日に投票が行われた統一地方選挙の前半戦では、大阪の知事と市長のダブル選挙で勝利した。維新の政策提言は自民党よりもさらに右よりですが、その支持層が厚みを増していくほど、自民党にも広がっていく」
維新の会と自民党の議員は「根っこは一緒のような人たち」だからだ。
■右派の声はネット民に響く
右派政党が伸びてくる原因について、
「左派政党に対する失望もありますが、よし悪しは別として、右派の政策のほうがわかりやすい。それがネット民に響く」
と、砂川教授は言い、トランプ前米大統領を例に挙げる。
「『アメリカ・ファースト(米国第一)』『メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(米国を再び偉大な国にする)』とか。それと同様に、日本においても社会的にあまり報われていない中高年男性を引きつける要素が多分に維新の会にはあると思います」
関西での維新の勝利を分析すると、中高年層だけでなく、かなりの数の若者が維新の候補に投票したことがうかがえるという。
「でなければ、これほどの得票数の伸びにはならなかったでしょう。今回の事件が統一地方選の後半戦にどう影響するのかはちょっとわかりませんが、前半戦に続いて維新のパワーが維持されれば、次は国政選挙にもっと影響を与えます。そうなったときに、この国は右傾化していくととらえられるでしょう。なので、ぼくは大丈夫なのかなあ、と思いながら見ています」
政治手法はともかく、一国の首相に対して爆弾を投げつける行為は民主主義の対極にある。木村容疑者のツイッターへの書き込みとは大きく矛盾している。
※記事は暴力を容認するものではありません。当初の見出しは適切ではありませんでしたので変更しました。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)