しかし、その後ギリシャが放漫な財政運営を続けたため、15年にはギリシャ危機となり「EU追放」直前までいきましたが、ギリシャが厳しい財政支出削減の条件をのむ形でEUの金融支援を受けて現在に至るわけです。この時1ユーロは1.05ドルまで下がり、パリティー(等価)間際となりましたが、今回は下がったと言っても1.25ドル程度ですから実は大したことはないのです。一方で、これまでとまったく違う状況にあることも認識しておく必要があります。今までならば、「君たち、EUから追い出されるよ」という文脈で語られていたものが、イギリスのEU離脱決定以降は、「それならEUを出ていくわ」と主張しやすくなっています。

 イタリアほどの大きな国がEUと袂を分かつとなれば、単なる経済的な問題から、EUとは何なのかという理念に至る問題におよび、根本から欧州を揺さぶる可能性があることには留意しておいたほうがいいでしょう。

AERA 6月18日号

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