同じ木造アパートに住む住民はこう話す。
「いまどき、引っ越ししても隣にあいさつに行くことも少ないですが、引っ越しの日に雄大容疑者があいさつにきました。礼儀正しい人だと感じました」
新しい生活に希望を持っていたように見える雄大容疑者だが、結愛ちゃんへの虐待はすでに始まっていた可能性がある。結愛ちゃんは以前住んでいた香川県で2回、県の児童相談所で一時保護をされている。雄大容疑者による虐待の疑いが原因だ。2017年に二度、雄大容疑者は結愛ちゃんへの傷害容疑で書類送検されているのだ(いずれも不起訴)。
会社の引きとめを振り払ってでも東京に来た理由は、やはり家族にあるようだ。香川県から引き継ぎを受けた品川児童相談所の担当者はこう話す。
「香川県からの引き継ぎの情報として、児童相談所と距離を置きたい、児童相談所の訪問がストレスになると聞いていた。品川児童相談所では2月9日に家庭訪問をしましたが、訪問時に出てきた母親の優里容疑者は拒否的な様子だった。結愛ちゃんとは会えていない」
東京で新しく生活を始めたものの、生活自体もままならなかったようだ。近所の主婦(60代)は雄大容疑者のこんな姿を目撃している。
「テレビ報道で(雄大容疑者の)顔を知りましたが、2月ころに、平日の昼間に歩いている姿を何度か見かけました。何の仕事をしているのだろうと思いました」
また、地元の不動産関係者からはこんな話も聞こえた。
「税金の支払いの滞納がたくさんあり、生活保護を受給していたという話を聞く。目黒区の住宅扶助の上限額6万9800円を超える分は、生活扶助で穴埋めしていたのだろう」
目黒区に事実関係を問い合わせたが、「個人情報なので教えられないが、基本は住宅扶助の上限額以内におさまる住居に移るようにお願いしています」(目黒区生活福祉課)
7日朝、テレビのニュースを見て現場を訪れた会社員の女性(36)は、
「これ以上に悲しいことがあるのでしょうか。親としての責任がとれないなら、さっさと施設にでも頭を下げて、引き取ってもらうべきです」
女性は雄大容疑者が暮らした部屋を見上げ、涙を流した。雄大容疑者の部屋のベランダにかかる物干し竿には、熊をモチーフにしたものなど、カラフルな洗濯ばさみが並んでいた。(AERA編集部・澤田晃宏)
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