115系。今年ダイヤ改正を機に、半世紀以上の高崎支社管内での定期運行の歴史に幕を下ろした。3月16日、定期運行を終えた車両を、100人近いファンが見送った(撮影/伊ケ崎忍)
115系。今年ダイヤ改正を機に、半世紀以上の高崎支社管内での定期運行の歴史に幕を下ろした。3月16日、定期運行を終えた車両を、100人近いファンが見送った(撮影/伊ケ崎忍)
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鉄道ジャーナリスト松本典久氏が選ぶ、2018年「JRダイヤ改正」ベスト10!!(AERA 2018年5月21日号より)
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羽帯駅。60年の歴史に幕を閉じた。鉄道ファンの間では、「秘境駅」としても知られていた(写真:北海道清水町提供)
羽帯駅。60年の歴史に幕を閉じた。鉄道ファンの間では、「秘境駅」としても知られていた(写真:北海道清水町提供)
いすみ鉄道。大多喜城(千葉県大多喜町)を背に夷隅川を渡るキハ52(左)とキハ28。現役の旅客車両としてはともに最後の1両だ(撮影/伊ケ崎忍)
いすみ鉄道。大多喜城(千葉県大多喜町)を背に夷隅川を渡るキハ52(左)とキハ28。現役の旅客車両としてはともに最後の1両だ(撮影/伊ケ崎忍)

 国鉄が消え、JRが発足して31年。3月16日、国鉄時代のシンボルがまた一つ、姿を消した。

【ランキング】2018年「JRダイヤ改正」ベスト10はこちら

「かぼちゃ電車」「みかん電車」の愛称で親しまれた、オレンジと緑の湘南カラー「115系」だ。春のダイヤ改正でJR東日本高崎支社(群馬県)管内から引退した。

「角張った形や、窓やライトの配置など、前面の顔が好きでした」

 JR高崎駅(同高崎市)で定期運行のラストランを見送った、神奈川県在住の高校3年生、荒井真悟さん(17)はそう話す。この日は115系に乗るため、早朝5時半に横浜の自宅を出た。

 115系は子どものころ家族で旅行に行く時によく乗り、好きになった。手動の扉、4人掛けのボックスシート、モーターの大きなうねり音……。快適とは言い難いが、すべて好きだったという。

「長い間走り続けて、お疲れさま、ありがとうと言いたいです」(荒井さん)

 鉄道にとって春は、別れと新たな出合いの季節である。特に規定があるわけではないが、ダイヤ改正は、需要に合わせ、より合理的で便利なサービスを提供することを基本に行われている。今年は3月17日。JRが発足して31年が経ち、新鋭車両が続々と導入される一方、国鉄時代の車両が急速に消えつつある。

 定期運行のラストランとなった16日は、全国で別れを惜しむファンが列車を見送った。

鉄道ジャーナリスト、松本典久さん(63)が選んだ今年の「『JRダイヤ改正』ベスト10!!」を見てほしい。

「鉄道というシステムのなかで新たな時代を感じさせる動きを取り上げた。その一方、懐古趣味的な観点からも気になったものを選んだ」と話す松本さんがトップに挙げたのが、「新潟駅で新幹線と在来線が同一ホームで乗り換え可能になったこと」。

 松本さんは絶賛する。

「移動距離が激減し、さらに上下移動もなくなり、利用者本位のサービスだ」

 4月15日から、新潟駅(新潟市)で上越新幹線と特急「いなほ」(一部列車を除く)の乗り換えが同一ホームでできるように。新潟市などは2006年度から、在来線の利便性を高めるため、駅1階にあった羽越線ホームを上越新幹線と同じ高さの16メートルに高架化する工事を進めてきた。新幹線と在来線特急の同一平面化は、恒久施設としては全国初。これにより、「いなほ」と上越新幹線との乗り換え時間は現在の8分から、もう少し短縮されることもあり得るという。

「つまり、所要時間でいえば、新幹線と在来線を直通運転させる山形新幹線などの『ミニ新幹線』に近い効果が期待できる。しかも、実施にかかる費用はミニ新幹線よりもはるかにリーズナブル。駅を直すだけでいいので、例えば、既存の新幹線から乗り継ぐ在来線特急に活用できる」(松本さん)

 ダイヤ改正は時代を映すかがみでもある。今春のダイヤ改正の特徴を、松本さんはこう話す。

「ぎりぎりの状況に追い込まれたゆえの選択と思われる合理化も進められた」

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