
俳優の坂口健太郎さんがAERAの表紙に登場。初の連続ドラマ主演も決定した人気俳優が、撮影で見せた意外な素顔とは。
「で、合ってます?」と同席したプロデューサーに声をかける。「どうですか? 僕?」とマネジャーに話を振る。「えー、過去、変えたいです?」と記者に逆質問。果ては、「あ、こっちの答えのほうがいいのかなぁ」とインタビュー的正解を気にする……。
この人、かなりの気配り屋さんだ。しかも、「現場ではバランスをとる癖がついちゃった」と自ら語るとおり、目配りは常に全方位。
メンズノンノのモデルを経て、2014年に俳優デビュー。映画「64-ロクヨン-前編/後編」をはじめ、ドラマ「コウノドリ」「とと姉ちゃん」「東京タラレバ娘」と話題作への出演が相次いだ。気づけばあっという間に連ドラ主演俳優になっていた。発売したばかりの写真集『25.6』の「サイン本お渡し会」には、ファンが殺到した。
モデルという経歴から、当初はイケメンともてはやされた。差し入れをもぐもぐ食べる姿。頬に浮かぶえくぼ。母性本能をくすぐる要素をフル装備していることに、異論はない。だが、坂口健太郎の魅力はそのたたずまいにこそあるのではないか。
「前にプロデューサーさんに言われたことがあるんです。印象的なお芝居をするわけじゃないけど、印象に残るタイプの役者だよね、って」
セリフでも表情でも動きでもない。強いていえば、まとっている空気。醸し出す雰囲気で、見る者を惹きつけてしまう。演技しているときも、そうではないときも、同じことだ。
演技に話が及んだとき、坂口の口から出たのは、「役を演じる」ではなく「役を生きる」。演じずに、生きる。その生きざまから生み出される「たたずまい」を、いつまでも眺めていたい。(編集部・高橋有紀)
※AERA 2018年4月16日号