――子連れ出勤制度があることで、「無理してでも就労すべき」という風潮にはなりませんか。
仕事は助け合いでカバーできますから、日頃から、どうにもならないときは休みを取得するという判断をしてもらっています。よく、子どもが風邪を引くと預かりを断られるという話は聞きますが、今回そういったことを理由に連れてきたというケースはありません。やはり、体調不良で連れてこられるのは子どもにとってつらいことですし、職員自身も面倒を見ることで手いっぱいで、仕事が回らないはずです。あくまで働きやすさを意識した制度を目指しています。
――試験的実施は今後、どう生かされるのでしょうか。
アンケート調査をよく分析して、第2期の運用を考えていきます。実は今回、課題ありきでのスタートだったんです。3つの職場については子どもを連れてできる仕事環境ではないと、実施を見送ったという事実があります。具体的には、多くの子どもたちを預かる保育園、熱や刃物など危険がある給食調理場、清掃車で市内各所をまわる清掃事務所は外しています。子育ての制度は、誰もが利用できて当たり前でないと、意味がありません。
そして、民間企業への普及も同時に進めていく必要があります。市役所でできたことは、民間企業にもあてはまるものか。こちらがモデルを示しながら、意見を聞いていきます。
実は多くの自治体から、制度の実態について問い合わせがありました。豊明市も、そもそも3つの職場を外した不十分な状態でスタートしています。社会全体で子どもを見守っていくというゴールに向けて、まずはやってみる、これが大事だと考えています。
(構成/AERA dot.編集部・市川綾子)