
北京・ロンドン五輪で銀メダルを獲得した元フェンシング選手で、現在は日本フェンシング協会会長の太田雄貴さん。自身の経験から英語の必要性を熱弁する。
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今も鮮やかな記憶として蘇るのは、2020年東京五輪・パラリンピックの招致プレゼンテーション。「Imagine(想像してください)」で始まる約2分30秒の流暢な英語での力強いスピーチは、東京開催を夢から現実に引き寄せた。GJ(グッジョブ)! ところが、立役者の太田雄貴さんは、こう打ち明ける。
「じつは僕、英語が得意なほうじゃない。今でもです。あのスピーチは丸暗記なんです」
本番直前に仕上がった原稿を自分の言葉に換え、「思いを乗っけて届けられるように」と、プロンプターなしで臨んだ。
選手時代はフェンシングが今ほどメジャーではなく、自分で直接外国人の選手・スタッフとやり取りせざるを得なかった。だから今、話したいことは話せる。話せるけれど、「正しい文法でしゃべっているのかが相当怪しいんですよ」。