特に過去形など時制の文法があやうい。それでも、五輪招致の英語プレゼンは絶対自分がやりたかった。当時、知人の岩瀬大輔・ライフネット生命社長からの一言が脳裏から離れなかったと振り返る。

「雄貴君、生意気なしゃべり方をしちゃダメだ。分かりやすいようにしゃべるんだ」

 国際オリンピック委員会の役員は非英語圏出身者が多い。誰が聞いても通じる言葉を届けなければと思った。半年以上前から原稿を音読し、iPadで撮影。想像していた自分とのギャップに愕然とした。録音機能付きのスマートフォンに吹き込んで、抑揚や発音を確認。最悪の体調でもこなせるようにと、強い酒を飲んでシャワーを浴び、直後に早口でまくしたてたことも。

「3回噛まずに言えたらOK(笑)。自信満々と思わなきゃ」

 一人ひとりのプレゼンターがつなぎ、相手に思いを届ける行為は、どこかフェンシングに似ていると感じた。

「団体戦でありながら、戦うのは一人。そこでたった一つの思いをつなげていくんです」

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