仕事で英語が必要になった場合、語学力を磨くのももちろんだが、使えるツールに頼ってみるのも一つの手だ。
【写真はこちら】美容室PEEK-A-BOOで使用している音声翻訳機の画面
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職場で突然、英語力を要求されることが増えている。
ファーストリテイリングや楽天のように英語が社内公用語にはならないまでも、
「小学校にALT(外国語指導助手)として来ている先生がまったく日本語がわからず、授業内容の打ち合わせが大変。同学年の担任の中で一番英語が得意な先生が伝達係となってしのいでいる」(小学校教員、35歳)
「部門が急激にグローバル化し、資料や会議も突然英語に。TOEIC730点レベルでは内容を聞き取るだけで精一杯。自分の意見を言いたくても、考えているうちに次のトピックに移ってしまう」(製薬会社勤務、47歳)
アエラが実施したアンケートにも、こんな悲痛な声が寄せられた。ドメスティックないわゆる「普通の職場」に、変化のさざ波が寄せる。
都心エリアの陸の玄関口、バスタ新宿に併設する人気ショッピングスポットNEWoMan。4階に店を構えるPEEK-A-BOOは、都内に9店舗を展開する美容室だ。この店ではいま、客の3割が外国人。そのほとんどがアジアからの訪日客だ。
店がオープンしたのは2年前。店長の栗原貴史さんによれば、増える一方の外国人客に対応するため、朝礼の中で外国語の定型フレーズを練習する時間を設けたり、英語の講習会を開いたりと努力はしてきた。しかし本業である技術習得の時間は削れない。語学ばかりやってはいられないというのが悩みだった。
そこに2月、小さいけれど強力な「助っ人」が現れた。
助っ人といっても人間ではない。ソフトウェアメーカー、ソースネクスト社が昨年12月から売り出している手のひらサイズの自動翻訳機「ポケトーク」だ。PEEK-A-BOOでは各店舗に1台ずつ導入している。
この日、開店と同時に店を訪れたのは、香港から朝着いたばかりという女性。4日間の東京滞在の手始めに、まずはヘアカットで美しく変身というわけだ。女性がガウンを着て鏡の前に座ると、美容師がポケトークのボタンを押して話し始める。