緊迫する朝鮮半島情勢を見つめるには、長く複雑な朝鮮半島の歴史を知る必要がある。東京堂書店・竹田学さんがおすすめする『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』(五味洋治著/創元社)は、そんな朝鮮半島の歴史を解きほぐす一冊だ。
* * *
北朝鮮の核実験やミサイル発射──。北東アジアに平和がもたらされないのはなぜか。朝鮮戦争がいまだに終わっていないからだ、と著者は主張する。
甚大な戦禍をもたらした朝鮮戦争は1953年に休戦したが、その後も平和協定が結ばれず、米軍は「国連軍」として韓国に駐留し、北朝鮮は軍備拡張を止めず対立は続いた。沖縄をはじめ日本には米軍基地が残り、周辺地域を巻き込む米軍の事故や米兵の犯罪が今も続く。朝鮮戦争は法的には継続中であり、抑圧と危機に満ちた戦時体制を現在も我々に強い続けているという。
本書は複雑な歴史を解きほぐし、「国連軍」の解体、平和協定の締結、朝鮮半島の非核地帯化などを提言しながら平和への道筋を示している。それは困難だが決して不可能ではない。朝鮮半島が緊迫する今、広く薦めたい。
※AERA 2018年2月12日号