ここ数年、携帯電話回線が不通になるトラブルが相次いでいる。昨年7月、2日間に渡って発生したKDDIの回線トラブルや、やはり昨年12月に発生したNTTドコモの回線トラブルが記憶に新しいところだが、その他にも、過去5年間だけでも、半年から1年に一度、どの事業者も長時間の通信障害を起している。
【写真】大規模障害が増えているのに公衆Wi-FIサービスが減っている、
その対策として3月末から運用が始まったのが「副回線サービス」だ。メリットとデメリットを解説する。
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もはや携帯電話は生活インフラ。通話やメール、メッセージなどが使えないことは、従来以上に深刻な課題を生む。急病などで緊急通報をしたくとも、携帯電話が不通ではそれも困難になる。
そこで大手携帯電話事業者は、総務省とも話し合ったうえで、1つの解決策を提示することになった。
それが「副回線サービス」と呼ばれるものだ。KDDIは3月末に、ソフトバンクは4月にスタートしており、NTTドコモも開始を検討中、とされている。
■トラブル回避に「別会社の回線」を用意
回線が不通となるトラブルは、いつ発生するかわからない。もちろん、自らが巻き込まれるのは、ごく稀なことではある。だが、近年のシステム複雑化はトラブルの元とも言える。携帯電話事業者はトラブル回避に万全を期しているが、トラブルをゼロにすることはできない。便利になって携帯電話回線への依存度が高まる一方で、トラブルの影響も大きくなりやすくなった。
また、日本は災害の多い国でもある。その結果として、被災地やその周辺で一時的に通信・通話が行えない、というトラブルもある。これもまた、予測して回避するのは難しい。
だとするならば、「トラブルはいつか起きるもの」と考えて対処すべき、ということになるのだが、具体的にはどうすればいいのだろうか。
答えは簡単。「トラブルを起こしていない回線事業者を使う」だけだ。大規模災害を除くと、回線トラブルは特定の事業者のみで発生する。となると、例えばKDDIがトラブルを起こしたのであれば、NTTドコモやソフトバンクの回線を使えばいいということになる。
そこで出てきたのが「副回線サービス」、というわけだ。
自分が使っている回線でトラブルが発生した場合、別の会社の回線へと切り替えることで通話や通信を可能にするのだ。