ウェブ媒体でのインタビューでは、「あまり人に頼らないタイプ」と言いつつ、「(作品の撮影期間中)朝泣いたと思ったら昼間くらいに笑って、また夜泣くシーンがあってっていうのを毎日ずっとやっていると、誰かの肩を借りたくなる」(「モデルプレス」19年10月10日配信)とも語っている。決して大きくはない体で主演の重圧を受け止めながら、人に頼りたくても頼れず一人で頑張る……まるで演じる役そのままのけなげさを感じさせるエピソードだ。

■主演映画は海外でも高評価

 そして30歳を迎えた今年。有村が挑戦したのが大河ドラマどうする家康」と、弁当屋で働く元・風俗嬢を演じた映画「ちひろさん」(2月劇場公開、Netflixで世界配信中)だ。「どうする家康」では史実とされてきた人物像とは異なり、清純でけなげな女性として描かれている瀬名を演じ、「ちひろさん」ではひょうひょうと自由気ままに生きているように見えて時折闇が見え隠れする元風俗嬢役に挑んだ。前者は有村がこれまで築き上げてきたパブリックイメージそのままの女性像、後者は30代に向けて有村が培ってきた新しい女性像の象徴といえるかもしれない。

「『ちひろさん』での演技は評判もよく、日本のみならず、台湾や香港などアジア圏での週間配信ランキングでトップとなったこともあります。一方で、『どうする家康』はWBCのオーストラリア戦が裏番組にきてしまったり、統一地方選挙の開票番組のために休止となったりと、巡り合わせの悪さもあって、盛り上がりに欠けるのが正直なところです。ただ、視聴率はWBCとかぶった第10話を底に、現在は回復基調にあります。ドラマの中盤のヤマ場は『築山殿事件』になると予想されていますが、ずっと家康に寄り添い続けた瀬名の命が絶たれるシーンは、大河史上に残る描かれ方になるでしょう。物語のピークは、間違いなく『築山殿事件』です」(前出のテレビ誌編集者)

 ドラマウォッチャーの中村裕一氏は有村についてこう述べる。

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悲しみの演技の中にも“温かみ”