09年は妻をがんで亡くし、私生活でもつらい時期だった。それを乗り越え、12年に再婚。前妻の連れ子、自身の3人の子に加え、現在の妻との間に息子を


授かり、いま6人のパパである。

「僕がいいパパかって? ときどきはね(笑)。子育ては本当に大変な仕事だ。巣立った子もいるけれど、家には17歳の双子を筆頭に、15歳、もうすぐ3歳になる子がいる。上の子の大学の申し込みに頭を悩ませつつ、片方はまさにトイレのしつけ中、という極端な状況なんだよ。一人一人に向き合うと時間がいくらあっても足りない。みんなが家を空けているときに自分の作業がやっとできるんだ」

 俳優と監督業はどんなバランスで成り立っているのだろう?

「僕にとって俳優業は生計を立てる手段だ。もちろんギャラに関係なくやりたい役もあるけれど、基本は役者をすることで家族の屋根を支えている。監督業は正直、お金にはならない。でも自分の伝えたいストーリーを自分が思う方法で伝えられる。その充実感は大きいよ。年を重ねるほどもっと監督をしたい思いが高まっている。実は役者業のほうは少し減らしていこうかなと思ってるんだけどね……」

 ファンが悲鳴をあげそうだが、まだ3歳の子もいるパパ。当分はハリウッドの屋根も支えてくれそうだ。(文中敬称略)(ライター・中村千晶)

AERA 2018年1月15日号