空港での移動サービス(パナソニックなど)/自動走行もできる電動車椅子で、空港内の移動をサポートする。ほかに商業施設内などでの展開も検討している(撮影/小暮誠)
空港での移動サービス(パナソニックなど)/自動走行もできる電動車椅子で、空港内の移動をサポートする。ほかに商業施設内などでの展開も検討している(撮影/小暮誠)
車椅子型ロボット(テムザック)/後ろから乗り込む形の電動車椅子。介助者がいなくても乗りやすい。屋内向けは販売受け付け中(98万円)。2018年には屋外向けも販売する予定(撮影/編集部・長倉克枝)
車椅子型ロボット(テムザック)/後ろから乗り込む形の電動車椅子。介助者がいなくても乗りやすい。屋内向けは販売受け付け中(98万円)。2018年には屋外向けも販売する予定(撮影/編集部・長倉克枝)

 ライドシェアやパーソナルモビリティー――。2018年は、移動手段が大きく変わりそうだ。その実現のカギとなるのは、やはり「自動運転」だ。

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 2017年8月、羽田空港国際線ターミナルに、自動走行をする電動車椅子3台の隊列が登場した。パナソニックと、電動車椅子を開発するベンチャー企業のWHILLが共同開発した電動車椅子「WHILL NEXT」だ。目的地を設定すると自動走行するほか、レーザーセンサーがついており、周囲に人や物があったら、自動停止する。

 パナソニックは、広い空港ターミナル内の移動が難しい、高齢者や障害者の移動を手助けするサービスの実現を目指している。たとえば、目的の搭乗ゲートまで手動運転で走行し、利用者が降りて“空”になった電動車椅子が自動で元の場所まで戻ってくるといったサービスを想定している。この日は、技術検証を行った。

「数百メートルの移動の助けになればと考えています。電動車椅子の利用者はもちろんですが、高齢者や、長距離を歩くのはしんどい方たちが移動しやすくなるといいなと思っています」

 とパナソニックのロボティクス推進室課長の安藤健さんは話す。

 空港でのサービス開始の目標は、20年だ。東京五輪・パラリンピックの来場者を移動サービスで支援できないかと考え、このプロジェクトを始めたという。多くの人が国内外から東京に集まるが、障害があったり、足腰が弱かったりすると、競技会場まで行くことが難しい。

「パラリンピック会場まで行くのに空港内、空港から競技場、競技場内と、さまざまな移動のハードルがありますよね。まずは数百メートルの移動を支援する空港内から始めて、ほかにも広げていければと考えています」(安藤さん)

 電動車椅子の最高速度は時速6キロ。屋内では十分なスピードだ。

 屋内での数百メートルの移動サービスを想定するパナソニックに対して、駅から目的地までといった「ラストワンマイル」の移動サービスを見据えるのは、ロボット開発を手掛けるテムザックだ。

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