あわせて教育資金の一括贈与に対する非課税制度や、結婚・子育て資金の一括贈与に対する非課税制度の導入、住宅取得等資金贈与の非課税措置の延長なども税制改正で決まった。
このように相続税よりも贈与税で優遇措置を設けるような流れは、03年度の相続時精算課税制度の導入あたりから始まったとされている。
この制度では、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子や孫への贈与について、贈与の段階では2500万円まで贈与税をかけずに非課税とする。贈与した父母や祖父母が亡くなったときに贈与分を相続財産に加え、相続税を計算することになる。
いわば遺産を前もって渡す仕組みだ。有利かどうかは贈与の段階では判断できない制度ではあるが、相続財産が多額でなければ相続の段階でも非課税になる可能性はある。
この制度を創設した背景は、まさに景気対策である。高齢者の保有する眠ったままの財産を、早く子や孫に移転させることができれば、子や孫の世帯は、大半を消費に回してくれるはず、という思惑である。その流れが、現在まで続いている様子がうかがえる。(ファイナンシャルプランナー・菱田雅生)
※AERA 2017年12月25日号より抜粋