相続に関する法律が大幅に変わろうとしている。いつかは多くの人が関わるであろう、相続にまつわる制度改正だけに、ここは確認しておきたいところ。大きな改正点をまとめた。
今年5月に、民法のうちの債権関係の規定が約120年ぶりに改正されることが決まった。相続に関する規定も、同じ民法の第5編にある。
相続については、1980年に配偶者の法定相続分を3分の1から2分の1に引き上げる改正があった。それ以来37年間、大きな見直しはされていない。
相続税のほうは、その時々の税制改正によって変更されてきたが、今回は社会情勢の変化に合わせるべく、税にとどまらず民法の規定そのものを大幅に改正する方向のようだ。
改正案が国会に提出されるのは早くても2018年。それから議論が積み上げられ、実際に施行されるのは数年先との見通しである。
ここでは近年実施された、税制改正も含めた相続に関する大きな改正点とポイントをまとめたい。
最近の改正で最も大きなものだったのが、相続税の基礎控除の引き下げだろう。13年度税制改正によって決定し、実施されたのは15年1月1日からである。
94年度改正まで段階的に引き上げられてきた相続税の基礎控除は、そこで一転した。法定相続人が3人(配偶者と子2人)の場合で、「8千万円(5千万円+1千万円×3人)」に達していた。
それを「4800万円(3千万円+600万円×3人)」まで、4割減額することを決めた。
それまでは被相続人(亡くなった人)名義の財産が8千万円を超えるまでは相続税がかからなかったのが、4800万円を超えると相続税がかかるようになったわけだ。
同じタイミングで相続税の最高税率も50%から55%に引き上げられたので、細かい部分での減税措置はあったものの、全体的に見ると相続税は増税方向へと改正されたのである。
一方、同時に見直された贈与税については、最高税率の引き上げ(50%→55%)はあったものの、直系尊属(父母、祖父母)からの贈与については税負担を軽減する措置が導入された。