誰もが必ず向き合うことなのに、なかなか考えない相続にまつわる問題。自分の財産(遺産)を家族にどう引き継げばいいのだろうか。
【図表】知っておきたい!2015年の相続税制改正の主な変更点はこちら
法定相続の取り決めとは異なる内容で財産を分割する方法も法律には記されている。最も強力な手段は、故人が遺言を残すことだ。故人の遺志を反映する形で、誰にどれだけ残すのかを指定することができる。また、遺言がない場合でも、相続人全員が話し合いで合意すれば、相続する割合を変えることができる。
遺言は、被相続人が誰とも相談することなく1人で決められるため、相続人からすると、本来受け取るべき財産を失うリスクがある。法律では、遺言によって法定相続分を侵害された相続人が、「遺留分」として一定の割合を取り戻す権利も保障している。
遺留分は、配偶者、故人の子ども(非嫡出子を含む・代襲相続で孫なども)が相続人の場合、それぞれの法定相続分の半分。また、両親が相続人の場合は、法定相続分の3分の1の割合で請求できる。相続人が故人の兄弟姉妹の場合は適用されない。例えば、妻と2人の子どもがいる夫が、遺言で全財産を他人に与えるとした場合、妻は法定相続分(全財産の半分)の半分、子どもは法定相続分(残りの半分)の半分を均等配分して取り戻すことができる。
逆に、負債といった負の財産も相続の対象になるので、相続人には相続を放棄する権利も与えられている。