2018年を境に減り続けるとされている18歳の人口。大学にとっては死活問題だ。この状況で生き残れるのはどんな大学なのか、大学のサバイバル能力を数値化し、比較した。
文部科学省がよりいっそうの「大学効率化」を進める方針を示したのは10月25日、中央教育審議会でのことだ。
私立大学の経営状況に対するチェック機能を強め、経営状況が苦しければ他大学との合併や閉校を促す。学部や学科単位で他の法人に譲渡できるよう、制度改正も進めるという。
急な破綻を未然に防ぐためには、大学の自主性に任せるだけでは不十分だという判断で示された方針だという。
すでに「私立大学の定員割れ」は全国的な現象だが、18歳人口は2018年から長い減少期に入り、23年には110万人、31年には100万人を割ると予想されている。17年は120万人だから20万人減。仮に大学進学率が現在と同じ50%ほどで推移すると仮定すると、受験生は10万人減。数字上は、1千人規模の中堅大学が100校消滅することになる。
『大学大倒産時代』(朝日新聞出版)などの著書がある教育ジャーナリスト木村誠さんは言う。
「特に、経済力が低下した地方の家庭の子どもたちへの影響が大きい。伸び率が男子より高かった女子の進学率も頭打ちになるでしょう。学生を集めにくくなり、財政基盤も弱い地方の私立大学が最も危ない」
そこでアエラは、私立大学の「サバイバル能力」を数値化することを試みた。指標としたのは、「収容定員充足率の過去3年平均」「科研費の伸び率」「自己資金比率」だ。
「収容定員充足率」は学部全学年の合計定員に対する在学学生数の割合で、100%未満が「定員割れ」。逆に100%を超えると定員超過となる。よく言われる「定員割れ」は入学者数が入学定員に満たないことを指すが、年度によるばらつきが大きく大学経営への影響をみるには適さない。収容定員充足率の過去3年の平均をとることで、「大学の安定的な学生を集める力」を見ることができる。
「科研費の伸び率」では、大学や研究機関の研究に必要な資金を国が助成する「科学研究費」が16年度から17年度にかけてどれくらい増えたかを示した。研究活動を行う大学にとって、国から競争的資金を獲得することは「生き残り」に必要な能力の一つ。社会的意義のある研究には多くの科研費が分配されるので、大学の学術研究の質を測るバロメーターにもなる。