●メモを渡してはいけない
──クレームは多い?
A:お金を扱う仕事なので、ものすごいクレームを受けそうなイメージを持たれるんですけど、実際はモンスターみたいな人はほとんどいません。その分、こちらも丁寧に対応しているという面もあると思いますが。
B:相場が悪くて損をさせているときほどお客さんと連絡を取れっていうのは、必ず言われることですよね。
C:本当に金融商品の販売現場は気を使いますよね。お客さんに商品の説明をするときにメモをしても、それを渡すことはできないし、資料にアンダーラインを引いただけでもお渡しできなくなるし。
──それはなぜ?
C:広告審査をパスしたものしか、お客さんに渡してはいけないと定められているんです。
D:メールで商品の案内を送ったりするのもダメですよね。メールの文言が残ってしまうので。
A:だからお客さんとのやり取りは基本、電話ですけど、全部録音されている。訪問営業したあとは、お客さんごとにどんな話をしたか報告書をあげなくちゃいけないので、非常に面倒。
B:当たり前のことなんですけど、「絶対」とか「たぶん」といった表現は使えませんよね。でも、ついつい「絶対これお薦めですよ!」と言っちゃう……。「あ、絶対って言っちゃいけなかった。すいません!」と謝るケースが、私は多い(笑)。
D:それ可愛くていい。私がお客さんなら買っちゃうかも。
(構成/ジャーナリスト・田茂井治)
※AERA 2017年10月9日号
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