経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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ワタクシは職業柄あちこち出張しますが、いつも気になることがあります。飛行機などに乗るときにCAの方が、「おはようございます」「いらっしゃいませ」と声をかけているのに、ちゃんと挨拶を返している人はほぼいません。国際線などでワインをお願いして持ってきていただいているのに、それを黙って受け取っている人がほとんどで、「どうもありがとう」と言っている人はほぼ皆無。男女問わず、むしろ女性のほうが横柄だったりします。
ひとこと言いたいのは、こういうサービス業をやっている人は、仕事でやっているわけであって、あなたの奴隷ではないということ。アメリカ人はこういうシチュエーションでは必ず挨拶を返します。日本人が礼儀正しいなんて嘘なんじゃないでしょうか?
こう書くと、金を払ってるんだからそれ相応のサービスを受けるのは当然だという人が必ず出てきます。特に日本の場合は、チップを払っているわけではありませんから、それ相応に、対等なサービス業をやっている人間として、きちんと挨拶くらいできないんでしょうか。
恐らく横柄な態度を取っている多くの人が、自分がサービスをする側になると、苦労しているのではないでしょうか。なのに、自分が受けるときはやりたい放題というのは本末転倒だと思います。
飛行機の中に限ったことではありませんね。ほかのシチュエーションでも日本人は極めて横柄で見ていて腹が立ちます。一方でアメリカの飛行機に乗っていると、白人女性のCAにへーこらしている日本人のおじさんたちをたくさん見ます。要するに差別しているということなんでしょう。サービス業の女性を見下すことで自分の価値を下げているということに気がつかねばなりません。豊田真由子議員の例でも分かるように女性も例外ではありません。もっとオッサン臭い、性質の悪い女性ビジネスパーソンは私の周りにたくさんおります。嫌われますが、あえて言うんです。あなた、ご自分の価値を自ら下げるようなまねはやめなさい、と。
夏休み。旅行される方も多いと思いますが、「いらっしゃいませ」と言われたら「ありがとう」と答えてみたらいかがでしょうか。それを見ているお子様は、そう言うんだと学習してくれるはずです。
※AERA 2017年8月28日号