経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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これを書いている7月27日時点で、アメリカのテック系企業の4~6月期決算が次々と発表されており、すさまじい数字を叩き出しています。
フェイスブックの数字が印象的で売上高は前年同期比45%増の93億2100万ドルと日本円でほぼ1兆円超え、純利益は同71%増の38億9400万ドルと利益率も爆発的で、四半期で過去最高益を更新。利用者数は月間20億600万人となっており、すさまじい規模になってきました。
こういった企業群をそれぞれの頭文字をとって、FANG・MANTと表現したりします(フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルでFANG。マイクロソフト、アップル、エヌビディア、テスラでMANT)。これらの企業がどんな成長を遂げていくかにアメリカ経済、いや世界経済の命運がかかっていると言っても過言ではないでしょう。FANG・の時価総額は3兆1千億ドル(およそ340兆円)。世界全体の4%を占めるに至っています。この企業群の中に電気自動車大手のテスラが入っていることに注意していただきたい。多くのメディアがテスラの時価総額がフォード、GMを超えたと報道していますが、テスラは自動車会社とは言い切れません。アメリカではテクノロジー会社という分類で捉えられています。このニュースが出た時にテレビ出演があり、自動車会社じゃないですよ、とコメントしたら参加者から顰蹙を買いましたが。
1970年代にさかのぼりますと、Nifty Fiftyと言われた企業群が世界をリードする企業とされていました。コカ・コーラ、IBMなどは今でも大企業として君臨しています。しかしポラロイドなどはすでになくなっています。当時これらの企業の平均PER(株価収益率)は40倍以上。S&P指数の倍以上あったため、極めて割高であると言われたものですが、今のアマゾンなどは予想PERで100倍を超えました。個人的にはこれらの企業は、技術発展のスピードが速すぎ、陳腐化リスクが大きいので長期投資に向かないと判断していたのですが、この点は正直に反省いたします。著名投資家ウォーレン・バフェットでさえ、「グーグルへの投資を見送ったことが最大の後悔だ」と言っているくらいなので許してください(笑)。
※AERA 2017年8月7日号